獲得意欲を刺激する、オリジナルデザインのトロフィー
獲得意欲を刺激する、オリジナルデザインのトロフィー
スポーツ競技会やその他文化芸術系のコンクールなどの入賞者への賞品として贈られるトロフィーというと、一般的な形としては丈の高いカップ形(多くは蓋で閉じられている形状で、有翼の人物像が乗っていることも多い)や翼を広げた鷲の像などの形がイメージされるものです。しかしこうした「一般化・様式化されたデザイン」が極めて多いことを逆手に取り、他の大会やコンクールでは手に入れられないようなオリジナルデザインの入賞記念品を使うことで参加者や参加希望者の獲得意欲を刺激し、参加者を募ったり、参加者により力を発揮させることも可能です。
そもそもトロフィーは、古代ギリシャに端を発し古代ローマ帝国時代に大いに発達した戦勝記念柱にルーツがあります。そしてこの戦勝記念柱の上には、勝利を象徴する鷲の像や有翼の人物像、あるいはローマ帝国軍の総司令官である皇帝の像が配されることが一般的でした。丈長の蓋付きカップの上に有翼の人物像が乗っているデザインや翼を広げた鷲の像は、これに由来します。時代が下るとこうした戦勝記念柱は人が手で持てるほど小型化し、且つ軍の総司令官である君主よりも騎士団長などを記念するものとなり、勲章が登場する以前における戦いの功績を表彰する品となりました。これが現代のトロフィーの直接の原形です。その後軍功を表彰する品として勲章が用いられるようになり、市民革命の時代には折からの古代史ブームにより「自由の勝利」の象徴として戦勝記念柱がリバイバルして建てられる例もありました。スポーツ大会などの表彰で現代のようなトロフィーが使われるようになったのは、それ以降の時代です。
オリジナル性の強いデザインのトロフィーとしては、クリスタル製のものや、上部に乗る小像が当該競技スポーツのプレイヤー(文化芸術系ならト音記号や、コンクールにちなんだモチーフを掲げる有翼人物像など)であったりするものがあります。また、いわゆる「楯」に近いタイプのものもあります。特に文化芸術系コンクールに、オリジナルデザインのものが多く採用される傾向があります。そもそものルーツが戦勝記念柱であるため、一般的なデザインの、スポーツ大会に多いタイプのトロフィーにはどこか武張った威圧的な雰囲気を感じさせるところがあります。しかし文化芸術系のコンクールでは必ずしもそうした武張った雰囲気を求めませんし、且つ「感性を磨く」ことを良しとするため、オリジナルデザイン(クリスタル製のものの中には、アールデコ時代のガラス工芸品のような、優美そのものといったデザインのものもあります)を採用しやすい傾向にあります。