トロフィーの様々な素材と製造法
トロフィーの様々な素材と製造法
※画像はイメージであり、実際の商品ではありません。
金や銀など様々な素材が使用される
スポーツの競技大会や映画祭などの芸術関連のイベントで優秀者に授与されるトロフィーは、古代ローマ、ギリシャでの戦争での勝利品が由来になっています。そのため勝利の石碑を表す1本ないし4本の柱のあるものや、戦利品を表す盾、カップといった形が一般的です。しかし最近ではいろいろな形のものが登場しており、また使用される素材についても様々です。
金属には貴金属と卑金属があります。貴金属は金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム 、ルテニウム、オスミウムの8個の元素のことで、耐腐食性があることが特徴の金属のことです。ジュエリーのことを貴金属といいますが、それはジュエリーに金、銀、白金、パラジウムが使用されているためです。ジュエリーとしての貴金属には国際貴金属宝飾品連盟により品位区分が設けられており、それによって貴金属の価値が異なります。
一方、卑金属とは鉄、アルミニウム、亜鉛といった水や炭酸ガスなどにより腐食してしまう金属のことです。トロフィーには貴金属、卑金属の金属が使用されている他、大理石やクリスタル、陶器など、様々な素材が使われています。
国際大会で使用されるものについては金色のものが多く使われています。その代表のひとつがサッカーのFIFAワールドカップでしょう。FIFAワールドカップのトロフィーは現在使われているもので3代目となり、高さ36cm、重さ4.97kg、マラカイト装飾入りの18金で作られています。
ワールドカップのものは金の価値だけでも1000万円以上になります。なお日本の大相撲の天皇賜杯は銀製になっています。
個人でも制作可能
国際的な大会などに使われるトロフィーは、有名なデザイナーがデザインしたものであったり、その競技の意味を示すオブジェが利用されたり、デザインだけでも価値のあるものです。その上使用している材料も、金や銀といった貴金属が使われており、その価値ははかり知れないものです。しかしトロフィーは有名な国際大会以外に、ゴルフコンペなど個人が主催する小さな大会などでも使用されている通り、個人でも制作することが可能です。
制作にあたっては専門の業者に依頼して制作しますが、制作にかかる費用は、大きさやデザイン、使用する材料によって大きく異なります。たとえば、金色の輝きをもつ金属に銅と亜鉛の合金である真鍮があります。真鍮は金と同じ金色をしているだけでなく、亜鉛の配合率によって色を変わることが可能で、メッキ処理によって銀色にもすることも可能な金属です。この特性のため、トロフィーによく使われています。この真鍮を使った金色の製品の場合、小さなものなら2万円くらいから、大きなものは数十万円で制作することができます。その他、鉛70%+アンチモン30%の合金であるアンチモニーや半透明な石灰岩であるオニックスなどを使ったものもあり、安いものでは、数千円くらいから入手することができます。
トロフィーはオリジナルのものを作る場合や、高級感のあるものを作る場合は専門店に発注して制作することができます。競技別、素材別にたくさんの種類がありますので、その中から目的や予算に合ったものを選ぶ必要があるでしょう。
トロフィーの作り方
トロフィーは色や形など様々なものがあり、形や色、サイズなどによって工法も異なります。たとえば鋳物は、鉄、銅、銅合金、軽合金といった金属を鋳型に流し、固めてから鋳型から出す工法です。金属を流し込む鋳型は砂で作られるため、鋳物は型の成形がしやすく、複雑な形のものを作りやすいのが特徴です。そのためオリジナリティーのあるものを作ることができます。
電気鋳造は電気メッキを利用して作る方法です。この場合はまず金属や石膏などを作ります。そしてその型に銅、ニッケルなどを電着させます。電気鋳造は鋳物のように、鋳型から取り出した後に、削ったりして形を変わるということができませんので、最初に型をつくる段階でデザインが決定しておかなくてはなりません。電気鋳造では電流の状態や液の濃度などが重要で、随時チェックを行いながら、型にメッキを施していきます。
ダイキャストは金型鋳造法のひとつで、金属の中に溶かした金属を流し込み圧力を加えることで、鋳物を作る工法です。ダイキャストは鋳物を大量に作ることができるのが特徴の工法です。砂型鋳造法に比べると新しい工法で、日本では1917年にダイカスト会社が設立されたのがこの工法が使用されるようになった始まりですが、2000年以降、コンピューター制御による大型化が一般化し、製品の向上化だけでなく、様々な形のものが製造できるようになっています。
トロフィーは金属以外にクリスタルなども使われるようになってきましたが、天然素材のクリスタルを使用したものは高額になるため、光学器械のレンズに使われる光学ガラスがよく利用されるようになっています。光学ガラスは均一で透明度が高いのが特徴で、ガラスの組成を変わることで透過性の調整などもできるようになっています。